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君しかいない

君しかいない

俺を見て? すこしでもいいから 俺ばっかり君を見てるんだよ 知ってる? 更新:週末
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「好き…です……」


誰もが俺を見た。

誰もが、姫野巧也を見た。


今まで一番見て欲しかった


戸田綾ちゃんも。



やっと俺だけを見てくれた。


君しかいない

finally


一番驚いていたのはきっと、


綾ちゃん本人だろう。


こちらに振り返った状態で止まってしまっている。

でも、その彼女に俺はもう何も言えなかった。

急に自分の気持ちを言ったからなのもあるのだろう。


他にも言いたい言葉はたくさんあるのに


声にならなかった。


辺りはシンとしていた。

誰の声も聞こえてこなかった。

聞こえてくるのは他のクラスの人たちの声だけ。



誰もが


俺と、綾ちゃんを見た。





「…なっん………」


初めに声を出したのは



「…っ………」



俺の、愛する人だった。


「なっ!ちょっ…なんで泣くんだよ?!」


彼女はいきなり泣きくずれて、地面に座り込んだ。

彼女の隣にいた友達も、我に返ったように彼女をなぐさめる。


俺も彼女の元に駆け寄った



「ごめん…こんなときに…嫌だったよな……志摩の…居る前で…」


言いながら、悲しくなった。


彼女の心には


俺ではなくて、俺の親友の、志摩がいて。
これは絶対で。

そう思うと、その場に居られなくなって




逃げるように彼女の傍から離れた



「まっ待って!!」


俺の腕を誰かが掴んだ


後ろをふりむくと




初めてみる泣き顔の君がいて




いつもの笑顔なんて

消えてしまっていて


あやまることさえ、出来ない自分が

たまらなく情けない。


「姫野…くん……」


彼女は泣きながら俺の目の前に歩み寄った。


「…旬…じゃなくてっ、志摩のことは…もう、終わったことだから。」

「へ?」

「私、すごく志摩のこと好きだったよ。大好きで、両親がいない私にとって、彼は家族も同然の存在で。彼がいないと生きていけないとも思ってた。だからその存在を失って、自殺しようかとも考えた。…でも死ねなかった。彼が助けてくれた。そして言ったの。」


―――俺は、ずっと傍にいるから


「恋人としては無理でも、ずっと傍にいるからって。その瞬間、私の心から彼に対して恋愛感情はなくなった。家族になった。きっとこんな気持ちは誰にもわからないと思うけどね…あと、もう恐れなくていいんだよって言ってくれた。」


「…何に?」


「…志摩は私のことよく気にかけてくれてるからさ、私よりも私のことわかってくれてんの。私が素直じゃないところとかも志摩が一番分かってくれてる。私の気持ちもね。」




ずっと俺の顔を見なかった彼女が、俺の目を見た。

その目に涙はもう、なかった。



「…ずっと、見てた。でも、好きになりたくなかった。昔のような、志摩と同じようになりたくなかったから。だから、あえて話かけもしなかった。」


「…は?」



誰を?

好きに?




彼女は、俺が困っている姿を見ると、くすっとかわいらしい顔で笑った。



「あたしも好き。」





「…あなたを見てるだけで、幸せな気持ちになるから。何もかも、忘れさせてくれるような気がしたから。」




彼女はそう言って、ポケットから携帯を取り出すと、俺のアドレスを聞いてきた。


「言っとくけど、私、滅多に男子にアドなんて聞かないんだからね?ってゆぅか…姫野くんが初めてで最後に聞く人なんだからね?」




彼女は顔を赤くしながら俺のすぐ隣に来て、俺のポケットから俺の携帯を取り出して勝手にアドレスを交換した。




全ての作業が終わると










俺も彼女も、いとおしい人を見て幸せな気持ちになった。




fin...


携帯からご覧の方…あとがきがあります。
もし見られない場合は、お手数ですがパソコンのほうからよろしくお願いします。







こんにちは。雨音です。

19話目にして…君しかいない、最終回になりました。
読んで下さっていた方、コメントを残してくれた方、メールを送ってくださった方、応援してくださった方、とても嬉しかったです。

この話は

雨音の好きな人の話でした。



隣の席になって、最初は興味だけでした。

当時、私は中学三年生での失恋で精神的に辛くて、恋をしたくなかったんです。
身なりも適当にして、誰も好かないように、好かれないようにしてふるまって。
そんな私が、彼を好きになんてなるわけがないと思っていました。

そもそも、小説を書き始めたのは、彼がこう思ってたら面白いなと、そう思ったのがきっかけでした。

今思えば、彼視点にすることで私自身の気持ちをごまかしていたんでしょうね。


□君しかいない□

君しかいないの話の中では、ふたりは両思いになりましたが、実際は違います。
中三のころの失恋から立ち直って、今までふらついていたことも全てやめ、彼だけを想って、いつも見ているだけの恋愛だったのですが、勇気を出して彼のアドレスを聞いたりもしました。

でも、結局だめでした。

いつも見ているだけの恋愛だったので、急に追う恋愛になって、がんばっているうちに自分の中で彼を想う気持ちがどこかで冷めていってしまったんです。
と、いっても、たぶん冷めてしまったのではなく、疲れてしまったんだと思います。
冷めてしまったはっきりとした原因は、あのころを今になって思い出してもわかりません。
当時の私もわかりませんでした。

でも、話の中だけでも、両思いで終わらしたかったから、ハッピーエンドにしました。
読んでくださった方には納得がいかない結末になってしまったかもしれませんが、作品の中まで、実際と一緒にはしたくなかったんです。
たとえ、小説の中の架空の人物であっても、思いが通じないなんてことにはしたくなかったから。

そして、読んで下さっている皆さんにも、こんな思いをさせたくなかったんです。
奇麗事に聞こえるかもしれませんが、私は、この小説を読んで、恋をしている人、していない人、したいと想っている人、すべての人に幸せな恋愛をしてほしいと願っています。
これは私がかく、全ての小説に言えることです。

今回は、私と同じように恋愛をしたくないと思っている人に、したいと思ってほしくて「君しかいない」をかきました。私自身も、がんばろうと思います。





「君しかいない」と、あなたしか好きになれないと、思える人が出来るように。






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



4.11.Fri.miyo amane







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ついに…最終回までいったんだね!

君しかいないは、ほんとにおもしろくって、毎回笑ってしまったよ
でも、クラス替えの場面では、私も姫ちゃんになったみたいにドキドキして読んでました(笑)

ハッピーエンドでよかった(^∇^〃)
感動しました
ちこ 2008/04/11(Fri)22:59:53 編集

ちこ様


書き込みありがとうございます。

そう言ってくれると…むっちゃ嬉しいです
やっぱりクラス替えって緊張やんな!
私もあのときは緊張したなぁ~

また番外編もかくんでよろしくねん♪

書き込みありがとうございました!
雨音美夜 2008/04/11(Fri)23:11:57 編集
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女性
自己紹介:
こんにちは。雨音美夜です。
「君しかいない」
は、馬鹿な男、姫野巧也による馬鹿な恋の話です(笑)
おもしろい話に出来るかはまだわかりませんが、気に入っていただけると嬉しいです。
(君しかいないは完結しました。)

更新は基本は週末ですが、結構不定期なので暇つぶしのつもりで気軽に読んでいってくださいね♪



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