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君しかいない

君しかいない

俺を見て? すこしでもいいから 俺ばっかり君を見てるんだよ 知ってる? 更新:週末
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あれから何日か経った


俺は門松(通称、東野)と仲がよくなり、続いて志摩、姫野とよくつるむようになっていた。

それと同時に

隣のクラスの≪松本 玲≫についても

いろいろ知ることが出来た。


見てろ松本玲…


絶対、俺のもんにしたる




おまえしかおらんねん

≪君しかいない≫番外編 ~岩崎剛の場合~


その②




おまえと一緒にいれて…。



「姫ぇちゃ~~ん!!!」

「うわっ!岩崎!抱きつくな!!」

「なんでやねぇ~ん!別にええやんけ!」


こんなことをしながら、俺は松本玲について考えていた。


松本玲

見た目は綺麗な顔をしていて、大人っぽくて
そやけど、笑顔になるとむっちゃかわいらしい顔になる。

そんでよく喋って、明るい性格やから


彼女は当然のようにモテる

でも


『興味ないから』



どんなにかっこいい男でも、秀才で、スポーツが出来る男でも
彼女はそう冷たい瞳で言って、男達をフる。

だから彼女が昔、誰と付き合っていたとかいう情報は入手でけへんかった。


「…非常にこの情報は入手困難や……」

「…あの……人を後ろから突然抱きしめてきたかと思ったら、次は急に意味不明なこと言わないでくれます?」



姫が言うことは無視し(おいっ




俺は作戦を開始することにした








*******************

「松本さんっ♪」

「………」


その①

ザ☆お迎え作戦



…こんなもんかって?しゃ~ないやろ!
俺が女おとすなんてありえへんかってんから!


「松本さ~ん?聞こえてへんの?」

俺が笑顔でそう言うと、彼女はうっとうしそうにはぁとため息を吐いて俺に視線を向け、言った。



「聞こえてますけど、何か?」


相変わらず冷たい彼女。
しかし、その態度が逆に俺を動かせた。


「な!??ちょっと!!」


俺は無理やり彼女の腕を引っ張り、近くにあった彼女のかばんを掴むと、そそくさと教室からでる。


その②

ザ☆強引でいっちゃえ♪作戦


俺があまりにも強引だったからか、彼女は何も言ってこなかった。
…多分、あきれて何も言う気がなくなったんだと思うが、まぁいい。

そんなの関係ねぇ!


…あっ、もう古い?

すんません。

もうゆわへんから許して下さい…



「…あんたさ」

「へ?!はいっ!!」


彼女は地面に視線を向けながら、俺に言う。


「…何がしたいの?私を彼女にでもしたいの?」

「えっ」


「私のこと好きなの?」


あまりにも突然で、言葉が出ぇへんかった。

『好き』なのか?


確かに松本玲は俺のタイプで

つ~かむっちゃくちゃタイプの女で


でも『好き』なんか?

俺が返答に困っていると、彼女はフッと少し笑って


「やっぱりね。タイプなだけなんでしょ?だったら構わないで。私、あんたのこと嫌いだから。大嫌い。じゃあね」



彼女は行ってしまった




その③

ザ☆怒らせ作戦


……嘘です。作戦なんかじゃありません。

俺はその場に立っていた。

動けなかった


ただ、彼女の後ろ姿を見ることしか出来なくて

でも

やっぱり

いや

でも

………



この展開、ものすごくありきたりな気がする。

でも



「松本さん」


小さい声で言ってみた。


彼女は止まった

まるで、俺の言葉を待ってくれていたかのように



「やっぱ、好きなんかも。俺、松本さんのこと」


すると彼女は振り返って言った



「私…本当は岩崎くんのこと知ってた。保健室で受験したなんて嘘。本当は岩崎くんの隣の席で受験してたの。私、テスト中に消しゴム忘れたのに気づいて、ものすごく困ってたら、消しゴム投げてくれたでしょ?すごく嬉しかった。」

「なのに岩崎くんは全く私のこと覚えてない顔つきでナンパまがいなことしてくるし」


「あ…ごめん」


マジかよ。

ありえない展開。


まさか隣に座ってたとは…


そして彼女は言った


「大嫌いなんて嘘。本当は、男なんてどうでもいいと思ってたけど、気になって仕方が無かった」


彼女はそう言うと、俺の傍まで歩み寄ってきてくれて、いきなり俺に抱きついてきた。

…俺はというと、驚きっぱなしで、かたまってしまっていた。


でもその行動が彼女なりに

精一杯の気持ちだということに、気づくのには時間はかからなかった。


俺は笑った。

そして言った。


「また明日、教室まで迎えに行くから待っててな」


彼女は俺に抱きついたまま、うなづくこともしなかったけど、


抱きしめる手の力が強くなった。



**********


そして今に至る。


「玲ちゃ~ぁん!かーえろっ!」

「うん!帰ろ~!」


どんなに忙しいときでも俺は、玲ちゃんと一緒に帰る。


彼女は笑う

俺も続けて笑う


「岩崎くん」

「何?」

「関西弁、つかっていいよ?」

「へ?」

「私の前で使ってよ。本当は嫌いじゃないから。」


そして俺のかわいいかわいい彼女は、小さい声で初めて言った



「剛くんのことも…嫌いじゃないから……」



俺は続けて、大きな声で言った。


「俺は玲のこと、むっちゃ好きやで!!!!」






fin...


あとがきあります☆









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「君しかいない」も無事に最終回を終え、もう一週間がたちました。

早いですね。


まぁでもあれやな、姫ちゃんと綾ちゃんが付き合うことができてよかったよかった!!

まさかあのタイミングで、あのへタレの姫ちゃんが、 大 告 白 !! をするとは思いもせぇへんかったけどな。

でも、何はともあれ…


よかったな。

ってことで、今日の話は


俺の、岩崎剛の恋の物語。





おまえしかおらんねん

≪君しかいない≫番外編 ~岩崎剛の場合~


その①




おまえと一緒にいれて、こんなに幸せなことはない。



「玲ちゃ~ぁん!かーえろっ!」

「うん!帰ろ~!」


どんなに忙しいときでも俺は、玲ちゃんと一緒に帰る。

そもそも、なんでこんなにかわいくてプリチーで、なおかつ天才の松本玲ちゃんと付き合えたのか…


それは忘れもしない、去年の春。



合格発表のとき



初めて見た。

あんな笑顔

今まで、見たことなかってん


綺麗な顔して

綺麗な涙流して


だから声かけてん。


「あれ?教室で一緒にテストうけた子ぉやんな?」


隣に連れがおるのんも無視して、彼女の元へ近寄って、笑顔を向けた。


…実は、これはいつものこと。

何もせぇへんでも勉強だって出来たし、スポーツも出来て、顔もそこそこ整ってた俺は、昔からモテていた。
だからよくかわいい子とか、自分好みの女の子がいると、適当に話題を作って話しかけてた。

そして大概の女は


すぐオチル。

みんな結局顔やねん。顔がよけりゃな、誰でもオチんねん。


だから俺はよく言ってた


『俺にオチない女はいない』


でもおまえは違った。


「…私、保健室で受験したから。ナンパまがいなことこんなとこでしてんじゃねぇよ。」


へ?


「はっはぁ?」

「ちょっ玲!そこまで言わなくても…」

「私チャラチャラした男嫌いだし、それに関西弁って下品じゃない?ウザイよ。」

「玲!も~!すみません!」


そう言って彼女と、彼女と一緒にいた友達は行ってしまった。


「岩崎ぃ!!何してんだよ~」

「ナンパしてフラれるとかだっせぇな~お前(笑)」


なっ…なんやねん!つか、大阪を馬鹿にされたんが


むっちゃムカつく!

ゲキマジムカツク!


こんなにムカついたのに

まさかおまえと付き合うなんてな。


***********


始業式



クラス発表


自分の名前よりもまず見つけたのはおまえの名前だった。


≪松本 玲≫


松本ってゆぅんか


…よっしゃ。


ちゃうクラスやけど、一応隣のクラスや



絶対オトシタル。



大阪人のプライドあるってとこ見せたろぉやないか!!







その②に続く…







「好き…です……」


誰もが俺を見た。

誰もが、姫野巧也を見た。


今まで一番見て欲しかった


戸田綾ちゃんも。



やっと俺だけを見てくれた。


君しかいない

finally


一番驚いていたのはきっと、


綾ちゃん本人だろう。


こちらに振り返った状態で止まってしまっている。

でも、その彼女に俺はもう何も言えなかった。

急に自分の気持ちを言ったからなのもあるのだろう。


他にも言いたい言葉はたくさんあるのに


声にならなかった。


辺りはシンとしていた。

誰の声も聞こえてこなかった。

聞こえてくるのは他のクラスの人たちの声だけ。



誰もが


俺と、綾ちゃんを見た。





「…なっん………」


初めに声を出したのは



「…っ………」



俺の、愛する人だった。


「なっ!ちょっ…なんで泣くんだよ?!」


彼女はいきなり泣きくずれて、地面に座り込んだ。

彼女の隣にいた友達も、我に返ったように彼女をなぐさめる。


俺も彼女の元に駆け寄った



「ごめん…こんなときに…嫌だったよな……志摩の…居る前で…」


言いながら、悲しくなった。


彼女の心には


俺ではなくて、俺の親友の、志摩がいて。
これは絶対で。

そう思うと、その場に居られなくなって




逃げるように彼女の傍から離れた



「まっ待って!!」


俺の腕を誰かが掴んだ


後ろをふりむくと




初めてみる泣き顔の君がいて




いつもの笑顔なんて

消えてしまっていて


あやまることさえ、出来ない自分が

たまらなく情けない。


「姫野…くん……」


彼女は泣きながら俺の目の前に歩み寄った。


「…旬…じゃなくてっ、志摩のことは…もう、終わったことだから。」

「へ?」

「私、すごく志摩のこと好きだったよ。大好きで、両親がいない私にとって、彼は家族も同然の存在で。彼がいないと生きていけないとも思ってた。だからその存在を失って、自殺しようかとも考えた。…でも死ねなかった。彼が助けてくれた。そして言ったの。」


―――俺は、ずっと傍にいるから


「恋人としては無理でも、ずっと傍にいるからって。その瞬間、私の心から彼に対して恋愛感情はなくなった。家族になった。きっとこんな気持ちは誰にもわからないと思うけどね…あと、もう恐れなくていいんだよって言ってくれた。」


「…何に?」


「…志摩は私のことよく気にかけてくれてるからさ、私よりも私のことわかってくれてんの。私が素直じゃないところとかも志摩が一番分かってくれてる。私の気持ちもね。」




ずっと俺の顔を見なかった彼女が、俺の目を見た。

その目に涙はもう、なかった。



「…ずっと、見てた。でも、好きになりたくなかった。昔のような、志摩と同じようになりたくなかったから。だから、あえて話かけもしなかった。」


「…は?」



誰を?

好きに?




彼女は、俺が困っている姿を見ると、くすっとかわいらしい顔で笑った。



「あたしも好き。」





「…あなたを見てるだけで、幸せな気持ちになるから。何もかも、忘れさせてくれるような気がしたから。」




彼女はそう言って、ポケットから携帯を取り出すと、俺のアドレスを聞いてきた。


「言っとくけど、私、滅多に男子にアドなんて聞かないんだからね?ってゆぅか…姫野くんが初めてで最後に聞く人なんだからね?」




彼女は顔を赤くしながら俺のすぐ隣に来て、俺のポケットから俺の携帯を取り出して勝手にアドレスを交換した。




全ての作業が終わると










俺も彼女も、いとおしい人を見て幸せな気持ちになった。




fin...


携帯からご覧の方…あとがきがあります。
もし見られない場合は、お手数ですがパソコンのほうからよろしくお願いします。







4月8日、始業式。


俺は教室にいた。

1年A組だったから、2年A組に。


一度、前のクラスで集まってからクラス発表があるからだ。




…今日が、出来るなら来てほしくなかった。

でも、今日は君に会えるから


だから嬉しいし、


幸せ。


君しかいない

eighteen


「ひ~めちゃん♪なんやねぇんその顔は!俺と離れてまうから寂しいんか?ん?どうなんや??」

「んなわけねぇだろ!」


いつもと同じ朝なのに

こんなに悲しい。


お願いだから…


綾ちゃんと…



「ほんとクラスどうなるんだろうね?」

「あたし綾と一緒がいいよ~!!」

「あっはは!」


綾ちゃんの笑う声

綾ちゃんの笑う顔


その笑顔が俺に向けられているわけではなく、でも、向けられたくて

綾ちゃんのほうに視線を向けてみる。


でも結局

話かけることは


出来なくて。



「あっ志摩やん!おっは~♪」

「おはよ。」

「ってあれ?東野は??」

「なんか熱出したらしいよ?」

「マジでか~!!まぁアイツ大事な日はいつも熱出す奴やしなぁ」

「え?じゃー東野来ねぇの?」

「うん。そうだよ」



…男とだったら話せるのにな。

はは。


ほんと、俺ってヘタレだよなぁ。

なんでほんの少しの勇気が出ないのだろう?

今日で君と同じクラスでいられるのが最後になるかもしれないのに。


なんで?




*************


「じゃ~クラスを発表するぞ~。えぇ~岩崎C組。上村A組。大野…―――。」


次々と名前と新しい組が担任の口から聞こえてくる。


お願い…


お願い…


「戸田C組…」


C組に…


お願いだから…



「…組…姫野…」


頼む!

お願い…


「G組。穂高は……―――。」


あぁ



ちがった。


そうだよな。


G組まであるんだもんな。



一緒になんて…



「じゃ~それぞれの教室に行ってください」


これほど悲しいことはない


「俺姫ちゃんと同じクラスちゃうし!!」



もう

君と隣の席には


二度となれない


しかもG組なんて、C組とまったく逆方向じゃん。

かなり離れてんじゃん。


ほんの少しの勇気

それがあれば



「姫野」

「あっ…」


こんなときに堤かよ…なんて思ってしまった俺。


「…悔しいけど、俺じゃだめだった」

「はい?」

「戸田さんに告ったけど、だめだった」

「…そっか……」

「…ごめんな。もう俺に構うなよ?」

「へ?」


そういうと、堤は俺の耳元で言った。


「好きなんだろ?だったら…―――。」


―――今、言え。



堤はそう言って、俺の背中を押してくれた。



だから言えた。


ほんの少しの勇気が


出たから。



「とっ戸田さん!」

「え?」


「好きです!!!」


教室を出ようとする彼女に、俺は周りのことなんて気にせずにそう叫んだ。

かなり恥ずかしかった。



でも


後悔はしてない。



「…戸田さんが、好きです」





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がんばる。



やるだけ


やってみようと思う。


君しかいない

seventeen


…でもさ、ちょい待て、俺。


今日は

3月24日


はっ…春休みじゃん!!!

会えないじゃん!!

ありえない!


「も~!!!!」


せっかく…せっかく…


やっと、決意したのによぉ…

最悪だ。


こんなことなら堤がアドレス聞いてるときに


「あっ俺にも教えてよ」

って言えばよかった。


そしたらいつでも連絡がとれるのに。




会いたい




久しぶりにこんなに一人の人に会いたいと

そう思った。


話がしたい
もう、何でもいいから
とにかく

君に、伝えたい。

別に両思いになって付き合いたいとか

そんなんじゃない

そりゃ、そうなれるもんなら
なりたいけれど

そんなことは、もう、いいんだ。



君を好きになって


悲しい思いもした

苦しい思いもしたし

たくさん悩んだりもした


でも、それと同時に

幸せだった。


嬉しかったよ。


恋なんて、二度としたくなかった。

でも

君を毎日見るだけで

それだけで


幸せで


嫌いな勉強もがんばろうかなって思えた。


毎日

幸せだった


だから伝えたいんだ





「君に好かれてなくてもいい。俺が勝手に想ってるだけだから。突然こんなこと言って、ごめんね。でも伝えたかった」






「ありがとうって。こんなこと言っても、『何が?』って言われそうだけど、俺はそれを一番伝えたかった」





「こんなこと言われて、迷惑だろうけど本当にごめん。」



―――君が、好きです。


理由なんてない。

ただ


ただ、




君が好きです。




大好きです。




一番好きです。





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雨音美夜
性別:
女性
自己紹介:
こんにちは。雨音美夜です。
「君しかいない」
は、馬鹿な男、姫野巧也による馬鹿な恋の話です(笑)
おもしろい話に出来るかはまだわかりませんが、気に入っていただけると嬉しいです。
(君しかいないは完結しました。)

更新は基本は週末ですが、結構不定期なので暇つぶしのつもりで気軽に読んでいってくださいね♪



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