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君しかいない

君しかいない

俺を見て? すこしでもいいから 俺ばっかり君を見てるんだよ 知ってる? 更新:週末
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あれから約1ヶ月が過ぎていた。

"あれから"というのはもちろん、岩崎と東野が(勝手に)俺が綾ちゃんに告白をする日を11月20日と決めた日。

…………でも、告白は、出来なかった。

だって綾ちゃんが…あの日以来、


学校を休んでいるから…


だから告白しようにも、出来なかったんだ。


君しかいない

five


「姫、お前あからさまに死にすぎやで」

「……『あからさまに死にすぎやで』って…」

「まぁプリンセス of 欠点の気持ちもわかるけどさ。綾ちゃんだけならまだしも、志摩も休みだもんな?」

「はぁ~志摩何やってんやろなー?1ヶ月も休むなんてやらへんかったのに。しかも何回電話鳴らしても出ぇへんし」

「…………」


そうなんだよ。

綾ちゃんだけならまだしも、志摩も休み。
俺も何回か連絡はしてみているけど、電源が切れたままなのかつながらない。

…………と、いうことで。俺は精神的にも結構辛いわけでありまして。
まぁ岩崎も東野もいるし。
ダチはいっぱいいるからな。
大丈夫っちゃー大丈夫なんだけど………

「あ~あ~もうすぐクリスマスやんかぁ…前会った女の子は結局姫目当てで俺にはかまってくれへんかったし」

いやいや、俺目当てじゃなかったよ。思いっきり志摩目当てだったじゃん。
………まぁ志摩の妹が印象強すぎて他の女の子のことはあんまり覚えてないけど(笑)

「俺も…もー欠点のくせに!!!なんでコイツばっか女持っていくんだよ!!!」


そう言って俺が朝早く起きて頑張ってセットした髪をぐしゃぐしゃにする東野。


「あーもう!やめろ!つーか俺モテてねぇから!お前らのほうがかなりイケメンじゃん!」



そう言うと、東野は俺の髪から手を離し、キョトンとした目で岩崎と共に俺を見た。

なっなんだよ………二人して……俺変なこと言ったか………?

そう思っていると岩崎が笑いまじりに言った。


「お前っ………マジで言っちゃってんの?」

「へ?」

マジって……?


「そりゃ~ね。俺らはぶっちゃけ言うたらイケメンという名の分類に入るんやろうけどな。何回かモデルにスカウトされたこともあったし?でもお前のほうがイケメンやろ~!クラスの女子に聞いてみぃや?」

んなバカな。

俺がイケメン?



………ありえねぇー(笑)


「あっははは!何言ってんの!マジうけるんだけど!」

「お前どこまで天然なんだよ…」

「まぁ東野ぉ~そう言うてもしゃーない♪ほんまのイケメンは自分では気づかへんもんやって!」

「ぶーーーーーーー!!!!」

「はっはっは!!!」

「ん~……岩崎も東野も志摩も、俺からしたらみんなかっこいいと思うんだけどな~」

なんて言うと、2人はニコッと笑って俺にデコピンをした。


「お前かわいすぎ!!」



それからもいろいろからかわれたりもしたけど、すごく楽しかった。


…全ての授業が終わって、俺たち3人以外誰もいない教室。

きっと、志摩もいたらもっと楽しかったのにな。
俺は岩崎と東野が喋っている間に志摩にこそっとメールをしてみた。


本文
--------------

体調大丈夫?
みんな心配してるから、よかったら電話して?





俺は送信ボタンを押すと、静かに携帯を閉め、ポケットに入れた。

今頃、何をしているんだろう?
綾ちゃんのことも心配だけどさ、やっぱ志摩のほうが俺にとっちゃ大事だし。

その時


―――プルルルルップルルルルッ


俺の携帯が鳴った。

「……姫の携帯じゃねぇの?」

「誰からなん~?」

「えっと…」

ディスプレイには電話番号だけが表示されていた。
俺は通話ボタンを押した。


「もしもし…」

『綾乃だけど…わかる?志摩綾乃』

「あぁ!妹さん?」

うわぁ~苦手なんだよ志摩の妹。
でもなんか今日は前とは違う感じだな。
電話だからかな……?

『そうそう。あと、旬のことだけど…………これね、旬の携帯からかけてるの。なんか1ヶ月前くらいだったかな?旬の奴、いきなり病院に行って来るって言って、行っちゃったの。携帯まで置きっ放しで………』

「病院…?」

『うん。多分都心の近くの国立病院。ここからじゃ結構遠いけど…』

「……わかった。ありがとう!行ってみるよ」

『えっ?!ちょっ……』



俺は最後まで聞かずに電話を切り、急いで志摩がいる病院に向かった。

岩崎達には急な用事があるからと言った。

別に本当のことを言ってもよかったんだけど、なぜか言わないほうがいいと思った。

………自分でもよくわかんないけど。






********************





バイクで二時間。


綾乃ちゃんから教えてもらった国立病院に着いた。
あたりはすでに暗くなっていて、すごく寒かった。


「………すっすみません!志摩…旬って人…入院していますか?」


けれど、そこに志摩はいなかった。

じゃあなんで志摩は病院に行くって…

そう思っていると、入口から志摩の姿が見えた。

「し…」


声をかけようと思った。

でも、かけられなかった。


「戸田綾さん、面会できますか?」

看護師さんに彼はそう言って、病室に入って行った。

俺はこっそりついて行くと、病室には

――108号室



と書かれていた。







なんで?


戸田綾?

綾ちゃん?


俺の好きな人?


なんで志摩がここに居んの?


次々と浮かんでくる疑問の答えに、考えたくもない答えが出てくる。

気になって少しドアを開けて中を覗いてみると、1つのベットがあった。
そして、その上には


「綾…ちゃん……?」


その横に立っているのはさっき俺が見つけた志摩の姿。

「なんでまた帰ってくるの?!」

ビクッ!

えっ?!!
もしかして俺が覗いてるってバレた?!

「心配だからに決まってんじゃねぇか!」

あっなんだ。
志摩に言ってんのか……って志摩に?!
ってか初めて志摩が怒鳴ってる声聞いたよ…いっつもおだやか~な声で話してんのに…
それに綾ちゃんだって…いつもなら叫んだりしないのに。それに…





初めて、志摩がクラスの女の子としゃべっているところを見た。






「心配って何よ…同情?そんなのいらない………もう帰ってって言ったじゃない。私はあなたに会いたくなんかない。誰のせいでこんなことになってんのかわかってるでしょ?!!!」

「…………わかってるよ。だから来てんじゃねぇか……」

「もうやめて!毎日あんたの顔なんて見たくない!!お願いだから忘れさせてよ………」



志摩が病室から出たのはそれから1時間程たった後。

出て来たら声をかけようと思っていたのに、声なんてかけられなかった。



……………俺は、志摩に出会ってから秘密にしていたことなんてない。
(まぁ女嫌いなことは秘密にしてるけどさ)

でも、今日初めて秘密が出来た。


一つは、志摩に黙ってこの病院まで来たこと。


二つめは


綾ちゃんと志摩が、中学生の頃に付き合っていたことを知ってしまったこと。





to be continued...


一ヶ月ぶりの更新です。遅くなってすみません!

さぁ~なんかシリアス(?)な展開に突入してきましたねぇ。
でもご安心下さい。(きっと!)すぐに元の姫野くんたちに戻りますから!
じゃないといつものパターンになってしまう(泣)

ということで!がんばります!!!
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HN:
雨音美夜
性別:
女性
自己紹介:
こんにちは。雨音美夜です。
「君しかいない」
は、馬鹿な男、姫野巧也による馬鹿な恋の話です(笑)
おもしろい話に出来るかはまだわかりませんが、気に入っていただけると嬉しいです。
(君しかいないは完結しました。)

更新は基本は週末ですが、結構不定期なので暇つぶしのつもりで気軽に読んでいってくださいね♪



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